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月刊ガンダムエース2015年3月号
「ガンダム Gのレコンギスタ」
メカニカルデザイナー・形部一平によるモビルスーツ解説(後編)
□カットシー
――以前、富野由悠季監督にインタビューした際、画面に入り切らないくらいの機体があって構図が大変だとこぼしていました。カットシーのことですよね?
形部:ですかね(笑)。メカだけアップにすると翼が入り切らない。でも、当初はまったく別の勢力、宇宙用の機体で考えていたので、翼はなかったんです。
▽デザイン稿1
宇宙用機体として描かれた初期のカットシー。背中には翼の代わりにバーニアが取り付けられている。これをベースに武器のギミックや細かいデザイン調整がされ、決定稿になっていった。
▽デザイン稿2
翼が備えられた、ほぼ決定稿に近い状態。隊長機、量産機の2案があったが、最終的に後者のデザインでまとめられた。
――ジェットやスラスターでなく、翼にしたのはなぜですか? どちらかというと飛行機寄りなデザインですが。
形部:安田朗さんが考えたキャピタル・アーミィのキャッチに「大空の覇者」とあったので、そのイメージから大きな翼を振りました。今までのモビルスーツは「飛べないこと」をリアルさの担保に使っていたことがありますが、今回は趣向を変えました。本来、空中での戦闘を目的としているのに、人型のまま飛べないというのは不自由な気がしたんですよ。巨大な翼は絵的な説得力にもなりますし。
――第4話「カットシー乱舞」でも描かれましたが、カットシーのビーム・サーベルは足に仕込まれています。これで戦うのは独特でした。
形部:空中戦になれば、手足の概念って、あまり関係なくなるじゃないですか。腕はビーム・ライフルなどを装備しているということもあり、それなら足を使わせたいと思ったんです。G-セルフが斬りつけてきたときに、足の刀で応戦したら、キックの変則アクションが起こると考えました。
□マックナイフ
▽デザイン稿
主役機のつもりで描いたというマックナイフ。極めてガンダムらしくないが、それ以前に描いたG-セルフ案がガンダムすぎてダメだったというように、最初期はガンダム作品ではなかったためだ。
――マックナイフは劇中、宇宙用に開発された機体ですが、最初は大気圏用だったんですね。
形部:カットシーと同じで、大気圏内を自由に動き回れるメカにしようと思ってデザインしています。ウィングスーツってあるじゃないですか。山やビルから滑空して飛んでいくやつ。あのイメージです。デザインした機体がどの勢力に振り分けられるのか、そのシャッフルには毎回ドキドキさせられます。自分の思惑とは違う部分もありますし、大丈夫かなと。でも後になって分かるんですが、理に適っているんですよね、その振り分けが。マックナイフもアーミィの宇宙用に組み込まれて、しっかり成立しているところがすごいです。
□エルフ系(エルフ・ブル、エルフ・ブルック)
▽デザイン稿
ワンオフのマックナイフから、量産機らしく簡略化された印象があるデザインだ。
――エルフ系はマックナイフの流れでデザインされたんですか?
形部:順番としてはそうです。マックナイフは一度完全に消えたデザインで、僕としては、何とか生かせないものかと再利用できる部分をすくい出し、手足の薄い可変機をデザインしたのがエルフ系です。それが採用されたおかげだと思いますが、そうしたらマックナイフが復活したんです。アニメとして、大型のエルフ系が出て、その後に小型化されたマックナイフが出て来るという、最適化されたような流れになっているところが絶妙ですね。
※カラー5ページに及ぶ形部一平さんによるモビルスーツ解説から重要な文字情報のみ、要約してまとめてみました。デザイン稿ありきの記事なので、ぜひ月刊ガンダムエース2015年3月号をお買い求めのうえ、ご覧ください。「形部版G-セルフデザイン案」「マックナイフ量産機」「ハロビー分割案」など、ここでは紹介していない貴重なデザイン稿もありますので、「G-レコ」ファンは必見です!